Interview 01. サポーターとしてのジーコ

「いくつになっても、子供のころに憧れた選手に会うと緊張するよ」

Q. 子どものころの話を聞かせてください。

A.子供のころは将来何になろうだとか、プロになろうだとか意識しない時代で、サッカーボール自体がおもちゃだったんです。ボールを使って様々な奇跡が起こせるし、ボールを中心に子供たちの輪が出来たり、自分だけで楽しんだり。サッカーというよりボールと一緒に遊ぶこと自体が好きで、それがすべてでした。その遊びが高じて自分の将来へとつながっていくんですが、とにかくボールは宝物でしたね。

Q. ボールを抱いて寝ていた、という逸話がありますが?

A.別にボールと一緒に寝ていたわけではないのですが、ちょうど自分のベットの下に置いていました。ですから、いつでもボールを触りたいと思ったときに、ボールを触れるのです。常にボールとコンタクトが取れるように。

Q. 初めてスタジアムで観戦したときの事をお聞かせください。

A.最初にスタジアムに見に行った試合は思い出せないのですが、テレビではしょっちゅう観てましたね。物心がついてからスタジアムで観たことは確かですが…記憶があいまいです。

Q. ブラジルでは観客がサンバをしながら観戦したりしますが、ジーコさんはどのように観戦していましたか?

A.サッカー観戦には色々な楽しみ方があると思うのですが、自分はテレビで観る事が多かったので、その時は試合の内容をじっくりと、なにが起こるのかどんなプレーをするのか、テレビに食い入るように集中して見ていました。ですからサンバを踊りながらという形ではなかったですね。ゲームの後で大騒ぎするときはサンバですが――勝った時だけですけどね。

Q. 子供の頃からフラメンゴのファンだったそうですが、そのきっかけは?

A.父親の影響です。ブラジル移民の父が最初に観たのがフラメンゴの試合でした。その試合では1-4でフラメンゴは負けてしまうのですが、点差以上にその綺麗なユニフォームに彼は魅せられたそうです。それ以来彼はフラメンゴのファンになり、男の子が産まれればその子にフラメンゴのユニフォームを着せました。私もその一人です。物心がついた頃には、自分もフラメンゴのファンとなり、そして入団するまでになるのですが、父親の影響がはじまりです。

Q. 観戦するときに注目していたポイントは?

A.どちらかというと個人のプレーに注目して観ていました。テレビだとあらかじめ画面が限られていますし(ピッチ全体が見渡せないので)、たとえばヂーダやフラメンゴのスター選手たちのプレーにわくわくしていました。とにかく有名な選手たちのプレーをじっくりと観ていました。

Q. スター選手たちは後のジーコさんに影響を与えましたか?

A.今の子供たちと同じことです。試合を観た後はいいプレーをマネしていました。今の子供たちも自分のヒーローを真似をするでしょう? それと同じですね。

Q. ヂーダがジーコさんにとって憧れの存在だったように、ご自分が憧れの存在となったのを自覚したのはいつごろですか?

A.ヂーダの話になりますが、私もフラメンゴに入団して選手になるわけですが、その後もヂーダはずっと指導者としてフラメンゴに関わっていました。小さい頃からファンで憧れていますから、彼を前にすると私はもうあがってしまって「あわわわ」という感じでした。自分がいつごろから憧れの対象になったのかはあまり意識していませんが、とにかく私自身はヂーダを前にするとそうでした。
忘れもしないのですが、ヂーダが亡くなる前、2002年に彼と一緒にラジオの番組が出演する機会がありました。そのラジオ番組はお互いの人生を語り合う対談で、小さかった頃の事など色々と彼と話をしたわけですが、その時の彼の顔が印象に残っていて、忘れることが出来ません。本当に貴重な体験でした。

Q. ブラジル・イタリアそして日本と選手として3カ国でプレーされましたが、国によってサポーターの印象はどう違いますか?

A.ブラジルとイタリアはサッカーの伝統が長いですから、熱狂的で応援も似たようなものがあるのですが、日本は今やっとサッカーが根付いてきた時だと思います。だいぶ欧州や南米に近づいてきてはいますが、やはりお客さんの層が違います。日本は――すごく女性が多かったりしますね。そして、女性が多いということは、かっこいい選手を見たり、そういう楽しみ方もあるわけですよね。しかし、この先みなさんが、サッカーのゲームとしての面白さを理解するようになってくれば、また大分変わってくるでしょうね。
ただ、日本がいい、イタリアがだめ、あるいはブラジルがいいだとかそういうことではなく、気になるのは熱狂的なファンが多い国は、度を越えた応援をしてしまって、多くのファンが怪我をしたりすることです。そういう事はよくない。純粋にサッカーを楽しんで欲しいです。

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